MitsuiDigitalTwin

デジタルツイン・・・と言われて、皆さんは何のことか分かりますか?
インターネット翻訳にかけると「デジタル双子」と出たりもしますが、簡単に言えば物理空間のデジタルデータを、そのままデジタル空間にコピーし、全く同じデータ環境の双子を作り出すことです。
映画マトリックスの世界を思い描けば・・・分かりますよね?汚い服を着て後頭部に穴が開いたネオがいる世界が物理空間、サングラスをかけてビシッと決まったネオがいる方がデジタル空間のイメージです。(え、マトリックスを知らない!?まずはDVDを観るべし!)
今回のプロジェクトではその物理空間にある発電所のデータを、クラウド上に構築した実行環境(仮想環境とも言います)にデジタルツインします。
そもそもなぜこのようなことをするのでしょうか?
ひとつ目は物理空間にある発電所は地球の裏側にあったりします。その発電所の状態を知りたい時、地球の裏側に直接繋ぐことは大変ですが、クラウド上ならインターネット回線があればすぐに繋ぐことができます。近所のカフェにいても地球の裏側の発電所の状態を確認できてしまいます。
ふたつ目は物理空間のデータは発電所の運転に直接関わるので、簡単にデータの変更を行えません。(データ変更の影響で事故でも起きたら大変です)でも、コピーした先ならデータが消えてしまっても発電所には直接影響はありません。そのデータを使用して、例えば履歴データの一部を変更した場合の現在値をシミュレーションすることもできます。これは、データ分析に大いに活用できます。
今回のプロジェクトでは「Mitsui Digital Twin(MDT)」と名付けられた基盤環境をクラウド上に構築し、ここに物理空間のデータを効率よくコピーする手法の検証や、デジタルツインを用いたソリューションの検証を行っています。

取り組み

MKIは今回のプロジェクトで様々な役割を担っていますが、ここではクラウド上のMDT基盤環境構築について紹介します。
MDT環境はパブリッククラウド(Microsoft Azure)を利用しています。パブリッククラウドはOSまで一気通貫でインストールされる仮想マシンイメージが予め用意されているため、仮想マシンサイズ(CPU、メモリ、HDD)を決めれば、すぐに使用できる仮想マシンが作成できます。今回のプロジェクトで必要になるSQL Serverが載った仮想マシンイメージも用意されているため、別途インストールする必要がありません。(これはAzureならではですね)
仮想マシンサイズは途中で変える事もできます。今回のプロジェクトでは、小さな仮想マシンサイズから始め、マシンスペックに問題がある場合は、必要に応じてサイズを大きくしていく方針としています。こうする事で初期コストも抑制でき、適切な仮想マシンサイズの検証もできます。(一石二鳥)これは、クラウド環境を利用する大きなメリットの一つと言えます。
こうして作成したクラウド上の仮想マシン環境に、実際の発電所で使用しているデータ管理ソフトウェアと同じものをインストールし、まずは発電所と同じデータ環境を用意します。
次に用意するのはデータ同期の仕組みです。今回はデータ管理ソフトウェアのベンダーが提供している、クラウドを用いたデータ同期サービスを使用しています。
仕組みとしては発電所側が送信者となり、データ管理ソフトウェアの定義内容に従ってクラウド上のサービスにデータを送信します。MDTはデータ受信用の仮想マシンを用意し、クラウド上のサービスからデータを受信します。
MDTからはデータ送信を行わないため、一方向通信となります。これにより、MDTが保持しているデータで発電所のデータを上書きする心配がなくなります。このデータ同期サービスもクラウドを利用したサービスのため、インターネットが繋がる環境さえあれば利用できます。専用のVPN(Virtual Private Network)を用意する必要もなく非常に簡単です。
昨今はグローバル化が進み、世界各地に存在するプラントのデータを本社の管理部門が一括して管理するケースも増え、このようなサービスが用意・利用されています。
上記でMDT基盤環境ができ上がりました。クラウド上のデータを見ることで遠隔にある発電所の監視が可能になります。地球の裏側の発電所の状態も簡単に確認できるのです。
今回のプロジェクトではデジタルツイン化したデータとAPR(Advanced Pattern Recognition)と呼ばれる故障予兆監視システムを用いて故障予兆の検証も行います。
故障予兆監視は過去のデータを用いて予測した値と現在との値を比較して、設備の故障を事前に検知します。発電所や化学プラントなど、連続で動く必要がある設備は故障による設備停止は大きな損失を生みます。予め故障が検知できれば予防措置ができ、設備が止まるリスクを軽減する事ができます。今回は検知方法が異なる2種類のAPRを利用し機能比較を含めて検証を行っています。
今後は今回のプロジェクトの中で得られた知見を活かしてAPRを含めたMDT基盤をパッケージ化し、別の発電所や石油プラントなど同様のデータ管理ソフトウェアを使用しているサイトに横展開し、デジタルツイン化を促進していくことも視野にいれています。

実際にMDTでデジタルツイン化しているメキシコ発電所の様子

PROJECT MEMBER